文学フリマ京都、御礼
第4回文学フリマ京都、無事に終わりました。
ありがとうございました。
今回は三糸ひかりさんが事情で京都入りできず、有村行人一人の参加となりました。
一人のみで、行き届かないことなどあったかもしれません、そのことについてお詫び申し上げるとともに。
今後ともよろしくお願いいたします。
まずは終了後の御礼申し上げます。
バレットジャーナル、稠密な文章、文学
「ギルドてすさび vol.2」で有村行人は、バレットジャーナルを取り上げている。
バレットジャーナルはノート術・手帳術のひとつ。
では、文学フリマに出す冊子で、なぜこのようなものを取り上げたのか。
ギルドてすさびでは、書くことが大きなテーマであり、記述についての関心から、とは言える。
しかし、ビジネス技法のようなノート術が、文学フリマと関係があるのか。
バレットジャーナルはライダー・キャロル(Ryder Carol)が創案、Instagramなどのコミュニティで拡がり、世界中に利用者を持つに至っている。
通常の手帳との最大の違いは、ノートに記入様式を手書きで作り、やはり手書きで予定やタスク、週や日々の記録を(もちろん手書きで)つけていくこと。
自分でやりやすいようにやればいいのだから、どのようなノートを使ってもいいし、記入様式も好きに作っていい。
一応、以下のログをとることが支柱になっている。
- フューチャーログ(月次カレンダーに大きな予定を入れるようなもの)
- マンスリーログ(その月の記録を1日1行、また月間タスク一覧)
- デイリーログ(日々の記録。大変なら、週の記録をウィークリーログとしてつける)
しかし、通常の手帳やノートとの最大の違いは、ラピッド・ロギングだろう。
- 箇条書き。
- 書くのはタスクやメモが中心。
- 1行はできるだけ短く簡潔に。
1行が長くなりそうな時は、タイトル行と、インデントされた内容行という形で、箇条書きを構造化する。つまり、複数の箇条書きに分割して記す。1行は長くないが、それなりの行数は費やす形になる。
こういう記述形態をとるため、バレットジャーナルには長い文章は(ほとんど)出てこない。
箇条書きがすべてになると、日記として書くことも事実中心になり、そこで感じたことは(事実とは別に)分割して箇条書きすることになる。
(箇条書きで事実を書いて、感想は箇条書きの下に通常の文章で残す、という手もある。ただし、ジャーナルとしての基本は箇条書きであり、文章はあくまでそこに書ききれない何かを記すため。)
デイリーの記述といえば、ほぼ日手帳、EDIT、フランクリンプランナーといったデイリーページを持つ手帳、あるいは厚いノートで日記をつけている人もそれなりにいる。
そこでは、イラストや文章を書くことが中心になる。書き手が心動かされた何かが主役になる。
一方、バレットジャーナルでは無味乾燥な箇条書きこそが主役になる。それを守るために、ラピッド・ロギングを強く推奨するようにさえ見える。
この違いは、書き手の意識になんらかの変化をもたらすのではないか。そのことは、密な文章として書くべきことではないか。
たとえば、三島由紀夫のように(後世に読まれることを意識した)稠密な日記もあれば、江戸川乱歩のように箇条書きも取り混ぜつつ、自身の発想を整理するメモを含めた日記もある。こうした違いは、自ずと選ぶテーマ、文体と関係してくるのではないか。いや、これは極端な例だが、もっと普通の人でも、毎日書く内容が変わってくれば、意識にもなんらかの影響はあるのではないか。
そんな発想から生まれた短編が「バレットジャーナルで撃ち抜かれる心臓」。
とはいえ、本来は気楽に読んでいただくための短編であり、思考実験として充実した重さを提示するような形態でもない。
少しでも気になるなら、ぜひお立ち寄りを。
1月19日の文学フリマ京都でお待ちしております。
第4回文学フリマ京都、参加します!
2020年、あけましておめでとうございます。
松の内はとっくに過ぎましたが、今年もギルドてすさびをよろしくお願いいたします。
今月(というより来週)開催の第4回文学フリマ京都に参加します。
https://c.bunfree.net/c/kyoto04
日時:1月19日(日)11時〜16時
ギルドてすさびはブース【す-06】です。
Webカタログも更新いたしました。
https://c.bunfree.net/p/kyoto04/17329
入場無料、ぜひお気軽にお越しの上、ギルドてすさび【す-06】にもお立ち寄りください。
皆様にお会いできるのを楽しみにしております。
久しぶりの京都、喫茶編 2(完)
1月の京都のことを、12月に更新するとは。
とんでもなく間があきましたが、京都の喫茶編の完結。
京都に2泊3日とはいえ、丸一日は文学フリマなので、街や寺社を見る時間は実質1泊2日。基本は行商人モード。
さらに昨年夏に腰を痛めて、まだ完治していない。念のために山深い大原、比叡山、高尾、鞍馬や、洛中から離れた宇治や嵐山などは避ける。
今回は洛中をぶらついては腰を下ろす、街散歩になった。
◼︎クラシカルの代名詞◼︎
前回、初日の丁の字Cafeを出てから、河原町などの様子を確認。夕食後、もう一軒お茶を、とゆっくり歩く。
四条木屋町からちょっと下ったところにある、名曲喫茶フランソワ。
昭和9年開店。クラシカルなインテリアやステンドグラス、女性店員の清楚な制服と、3拍子も4拍子も揃った古典的な「喫茶店」。
(人によっては、メイド喫茶以前のメイド喫茶とも、本来のメイド喫茶とも呼ぶ。)
これまでは平日に来ることが多かったが、今回は文学フリマの日程にあわせたため、週末の夜。あまりの混雑にびっくり。木屋町にあるのだし、お酒のあとにちょっとお茶、という人が押し寄せる店でもあることを忘れていた。
運よく座れたが、私の後に数組入ると、あとは待ち行列。
ここの名物は濃いコーヒーに生クリームの、ウィンナーコーヒーだろう。チーズケーキなどもあるのだが、この日はコーヒーのみ。
名曲喫茶とはいえ、おしゃべり禁止ではなく(今時そんな店はあまりない)、満席でごった返す人の声。第九だのレオノーレ序曲第3番だのベートーヴェンの大音響もあり、さすがに落ち着かない。一息ついたら読書もそこそこに店を出た。
四条河原町や木屋町近くのクラシカルな喫茶といえば、名曲喫茶築地、喫茶ソワレなどもあるが、今回は時間が合わない。
先斗町を北に上がっていくことにする。うさぎの雑貨店は今もやっている。店の入り口の足元に、かわいい子たちが季節行事で呼び込み。
先斗町で口直しも考えたが、翌朝から文学フリマ参加なので、今夜はここまで。
◼︎文学フリマの夜〜翌朝◼︎
二日目の文学フリマ京都の後は、三糸ひかりさんとの打ち合わせ兼お茶。イノダコーヒー本店、一択である。
(なにかとお茶をのむ二人……)
私が来ていなかったここ4〜5年の間に、本店は全面禁煙、近くの三条店は喫煙可になっていた。
イノダが基本的には京の商店の旦那衆がふらりと立ち寄っては仕事に戻るタイプの店なので、三条店を地元向けとして、本店は観光客に合わせた形に見受ける。
日曜の夜はびっくりするくらい静か。あまりに静かで、二人でボソボソと(苦笑)今回の反省、次号の企画を話した。
三糸さんはもう戻るので、ここから別行動。私は木屋町を散歩してから、木屋町三条の小川珈琲で、夕食と喫茶を兼ねて簡素に済ませた。木屋町にも新築ホテルができていて、驚く。
翌日は一人で歩く日。大きな荷は預け、腰を緩めるようにぶらぶら歩き。
それにしても、京都市営地下鉄はずいぶんと美少女キャラに走ってますな。高いから乗る人が少ない、という話は聞いたことがあるが、これは利用者増に繋がっているのだろうか。
午前というより昼前、三条通とその周辺を眺める。
2000年代に入り、NTTの建物をリノベーションした御池烏丸近くの新風館は、新たなフェーズに向けて工事中。三条通を東にぶらぶら、時折逸れてこんなのも見つけたりするが、まだ腹は減っていない。
と思いながら歩くも、底冷えに手足が冷たくなってきた。
寺町にさしかかると、三嶋屋の斜め向かいに新しい店、甘党茶屋 梅園。
来なかった数年の間にできた店の一つ。少し迷ったが、佇まいに抗えず入店。
昼前はまだ混んでいない。代表的な和菓子を少しずつ並べたセットを頼んでみる。薄くかかる静かなBGM、時間帯のせいか落ち着いた客が多く、なんだかほっとする。
やってきた皿に、思わずにんまり。みたらし団子はほんのり湯気が立ち、冷えた身体に嬉しい。ここは天国ですかー、とあっという間に平らげた。
温まったところで、寺町や四条通界隈を歩いて街の変化を楽しみながら、建仁寺へ向かう。京の冬の旅で、建仁寺の塔頭が特別公開していた。四軒廻ったのだが、喫茶ではないので割愛。
◼︎祇園・東山近くならやはり◼︎
となれば、あそこに寄らないわけにはいかない。
鍵善良房。
しかし、月曜は祇園本店の定休日。
慌てる必要はないのです、支店は営業中なのだから。
四条通の東の終わり、八坂神社でお参りしてから、南の門より下っていくと、高台寺の手前にあるのが、鍵善良房高台寺店。
昔は本店の歴史的な古さに対して、近代的な高台寺店という印象だったが、本店も建て替えてからだいぶ経った。高台寺店も2010年代前半にきれいになった。
幸い、すぐに座れた。最近は真冬でも葛切りを食べることができるようだが(昔は冬はなかった)、私は粟ぜんざい。底冷えには、やはり暖かい甘味。
いわゆるお汁粉もいいけれど、秋や冬はこれも魅力的でしょ?
お通しのように出てくる干菓子、ぜんざいと塩昆布。上質な和三盆の甘さが織りなすグラデーションを堪能。小腹も満たせた。
◼︎また来ます◼︎
多くは廻れなかったが、洛中の変化を肌で感じる散歩はできた。
冬の京都は底冷えがきついが、観光的にはオフシーズンなので、人混みに顔をしかめることもあまりなく、気楽に歩けるのがいいところ。夏のように40度近くまで上がると身動きがとれないが、冬はよほどの寒さでなければなんとかなるものだ(とはいえ、2月中旬に来た時には、あまりの寒さに風邪をくらったが)。
それにしても大中小、これほどホテルが増えて、10年後にはどれくらい残っているんだろう。
久々の京都で、見知っているあそこはどうなったろう、と思いながら歩いたが、次回はもう少し違うところもみたい。
ギルドてすさびに掲載する創作
昨日、文学フリマ東京で「ギルドてすさび vol.2」を発行しました。
掲載した有村行人の創作は「バレットジャーナルで撃ち抜かれる心臓」です。
これはvol.1の付録に収録した掌編を、まとまった長さに改稿したものではありません。
まったく新しい内容、人物、設定で書き起こしたものです。
あのvol.1付録の部活小説を書こうとすると、長くなっていくこと。
また、長さ故にこの秋に間に合わなかったこと。
そして、ここが一番重要な点ですが、ギルドてすさびは現時点で、長い原稿を掲載する活動形態をとっておらず、創作でもエッセイでもコラムでも(今は未掲載ですが詩歌でも)短いものを掲載する、と有村と三糸で確認しあったこと。
なので、参加者が長いものを発表したい場合は、ギルドてすさび本誌でなく、自分の(あるいは同人が寄せ合った)冊子を作ることになります。
このため、リコーダーアンサンブルの部活小説は、有村の個人の活動として、別の機会に出すものとしました。
予告と違う内容になったことを、お詫びいたします。
参加している同人の、まとまった作品が発表される時には、ここでも告知などの協力はいたします。
今後ともよろしくお願いいたします。
新刊「ギルドてすさび vol.2」の紹介
11月24日(日)の文学フリマ東京の新刊「ギルドてすさび vol.2」の内容を簡潔に紹介いたします。(Twitterに投稿したものから引用。)
次の日曜、文学フリマ東京に「ギルドてすさび」として出店します。新刊vol.2の紹介を少し。
— 有村行人:文学フリマ東京11/24【キ-30】 (@KenKen_t) 2019年11月21日
vol.1ではスライド文学と称して、Keynoteのスライド形式で、このサークルではどんな視点で出していくかを書きましたが。
今回は、三糸さんの「にせものをつくってみよう」という文+写真を掲載します。→
「にせものをつくってみよう」と、前回の続きになる古文創作「いろのかみ」は当然、通底しています。どちらもお楽しみに。
— 有村行人:文学フリマ東京11/24【キ-30】 (@KenKen_t) 2019年11月21日
私、有村は「バレットジャーナルで撃ち抜かれる心臓」というエッセイっぽい創作を載せます。バレットジャーナルを始めてみたら、バレット(弾丸)に撃ち抜かれた、何に?→
三糸さんは前回からの続きで「地に足がつかない」の第三〜五回も掲載。書くことと考えることを、いつものペースで綴っています。
— 有村行人:文学フリマ東京11/24【キ-30】 (@KenKen_t) 2019年11月21日
また、今回からは1ページのミニコラムで、書評、CD評などを始めました。三糸さん1本、有村3本。
隙間ページに、三糸さんの絵や、有村の掌編もあります。
皆様のご来場を心よりお待ちしております。
— 有村行人:文学フリマ東京11/24【キ-30】 (@KenKen_t) 2019年11月21日